仁翠

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#物憂げな空

ただ、一点を見つめる。ぼんやりとした視界の先には、古びた3分の砂時計。先ほどなんとなく逆さにしてからというもの、サラサラと秒が落ちてゆく。カーテンの隙間から差し込む光に照らされる砂時計を見て思い出す。

そういえば、この砂時計を手にした日はいつになく清々しく晴れていたっけ。

思い立ってこじ開けた空は、理不尽なまでに青い。その眩しさに引け目さえ感じた。
あの頃の自分は、純粋だったのだ。美しい青空を見て心が昂った。気分が晴れた。しかし今はどうだろうか。青空の美しさを鬱陶しく思い、気分は雨模様だ。
空模様は、それを目にする人間の心模様によって明朗にも、物憂げにもなる。

「物憂げな空だなぁ。いや、それは私のほうか。」
情けない自分に気づいてしまったらしい。

砂時計が落ち切った。

2/26/2024, 9:51:48 AM