「今日は、ちょっと遅くなりすぎましたね」
「おう、すっかり眠くなっちまったな」
2人はゆったりとした足取りで冷めきったコンクリートの上を歩いていた。津詰の方は大きな口を開けて、欠伸をした。
しばらく歩いたところで目の前に橋が差し掛かった。
津詰は橋の名前を見ると立ち止まった。
「どうしたんですか?ボス」
「あぁ、いやなんでもない」
橋名板には"駒形橋"とあった。
「この橋の上からじゃ海なんか到底見えませんけど、夜の海ってどんな感じなんでしょうね」
「夜の海はブラックホールみたいなもんだな。入ると結構流されることがたまにあるんだってよ。そのせいで、毎年夜の海に入った人が沖に流される事故が結構あるんだな、これが」
「じゃあ、今度一緒に行きません?夜の海」
「なんでそうなるんだよ。話の流れ的に行かないってなるだろ、普通」
「いやぁ、ブラックホールならオレがボスと一緒に入ったらずっと一緒に居れるじゃないですか」
「俺を殺す気か」
「まぁ、冗談ですよ。そんな事しなくてもオレたちはずっと一緒ですからね」
8/15/2024, 11:56:12 AM