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 俺は、貴女と出会うまで、世界に色があることを知りませんでした。
 貴女と出会って、心を通わせて、そうしてようやく自分が生きてきた世界の色を知りました。貴女が与えてくださった時間が、あまりにも美しい色に満ちていて、俺は初めて、自分が腐った沼のような色の世界で生きていたと分かったのです。

 貴女を喪ったと分かった日、俺の世界は色を失いました。
 どれだけ泣き叫んだところで、悲しさや恋しさが募るばかりで、貴女は帰ってこない。俺はもう二度と、貴女に会えない。
 それを理解した時、俺の目は色を映すことを止めました。

 貴女を守る役目を与えていただけた日、俺の世界は色を取り戻しました。貴女のためなら、どんなことでもしよう。貴女のゆくところ、どこまでもお供しよう。そう思うだけで胸が弾み、あらゆるものが輝いて見えました。それはあれから何百年も経った今でも、同じです。

 俺の愛する貴女。
 誰より愛しい貴女。
 俺に世界の美しさを教えてくださった貴女の瞳に映る世界は、今どんな色をしているのでしょうか。

4/18/2024, 1:23:46 PM