誰よりも、ずっと先輩を好きでいたのに…
誰よりも、ずっと君の近くに居たのに…
明日は新入生を迎える会…か。部活動紹介も考えなきゃなんだな。そういえば…去年の陸上部も面白かったな。みんなふざけたり必死にセリフを喋っている中で、先輩はひたすら筋トレをしていた。みんながボケたのを笑う中で、私は先輩のあまりの真剣さにただただ微笑まずにはいられなかった。きっと先輩はあの時間も部活動紹介じゃなくてトレーニングだと捉えていたんだと思う。そんなに必死に頑張る姿も入部してから知った先輩の優しさも全部…私が1番好きだったのにな。
幼馴染くんは今日、やけに私と関わりたくないらしい。話しかけようと思っても君は逃げるし…だからといって少し離れれば男子を道連れにして近寄って来るし。なんなんだろうね、ホント。私がセクションの練習に取り組んでいると、2回くらい邪魔しにきた。顧問に用があるのはわかってるんだけど…チラチラ見てるってことは私に用があるのかないのか…。部活が終わってから君はまた男子を道連れにして私に近寄ってきた。でも、その男子に逃げられ、私たちは2人っきり。少し気まづそうにしている君の姿が…
「可愛い。子犬みたい」
「…うっせー」
照れたようにつぶやく君に少しだけキュンとしてしまった。一瞬見えたしっぽはパタパタ振られていたような気もした。
ー私があげたキーホルダー、柴犬だったもんねー
独占欲が増す中でそんな事されても…私が困るだけなんだけどな。誰よりも、ずっと君と仲が良かったのに…
4/9/2023, 10:58:09 AM