此岸

Open App

忘れられない、いつまでも。

家の縁側で二等辺三角形に切られたすいかを食べる。
君は勢いよくかぶりついて、口いっぱいに頬張った。
シャキシャキ音をならしながら食べていく。
君の頬はだんだん元通りになっていき、
口の中に残った種を器用に飛ばした。

そしてまたひとつ手に取る。
美味しそうに食べる君を見ながら、
私も一つ目のすいかにかぶりつく。

昔は夜に食べて、よくお漏らしをしていたな。
すいかを食べると思い出す昔の記憶。
正直好きではなかったな。
すいかが好きじゃないというより、
私には好きだと思う食べ物がなかった。
同じように嫌いな食べ物もなかった。

自分のことが分からず、
曖昧な考えでずっと生きていたけれど。

最近は好きが増えた。
愛おしいと思う存在ができたからだろうか。
君が隣にいてくれるから
何をしていても楽しいし、何を食べても美味しい。

偉大だな、と呟いた。
それを聞いた君はアインシュタインのはなし?
とわかっていなさそうだった。


今は7月の後半。
縁側にある風鈴の音を聞き、
扇風機の風を感じ、
太陽の日差しを浴びて、
私たちはこの夏を体いっぱいで受け止める。

君の隣だからそう思えた。

5/10/2026, 12:53:40 AM