はと

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ある日から、同居人がなにやら家を強化している。
主に外壁。それと屋根。
なんか要塞みたいな感じになって、折角可愛かった外観が見る影もなくなって悲しくなる。
さらには地下も作りだした。
もう本当に意味がわからない。

「ねえ」

同居人に問いかけると、彼は脚立を持ったままこちらを向いて首を横に傾ける。

「なあに」
「どうしてこんなことするの」

何もしなくていいじゃない、だって何も無いほど平和なんだもの。
それでも同居人はうーんと少し頭を悩ませていたのたが、即にもう答えを持っていた様でにこりと笑いながら口を開く。

「嵐が来ても、世界が滅んでも、君だけは守れるように」

嵐はともかく、世界が滅ぶのはスケールがデカすぎる。
それでも同居人はさも普通の事を言ったかのように、何事もないように今日も作業に励むのだった。

「嵐が来ようとも/20240729」

7/29/2024, 2:05:52 PM