桜舞う卒業式。教え子達が門を出ていく。1人、1人、また1人。
自分が卒業した時もあの子と門を出た記憶がある。もう何十年も昔のことだけれど継ぎ接ぎに覚えている。
でも、悲しそうに笑った君の顔だけはハッキリ覚えている。あの日以来1度も会ってないし連絡も取っていない。
「もう会えないって、なんでそんな事」
「会えないの、ごめんなさい」
「会いに行く…会いに行くから……」
「……もっと早く出会いたかった」
線路を渡る君。電車が通り過ぎていく。向かいの道には誰もいない。まるで最初から誰もいなかったかのように。
君は僕の記憶の中でしかもう生きていない。
『君と最後に会った日』
6/26/2024, 11:56:30 AM