『胸の鼓動』 No.130「ここ、もう少し早く小刻みにできる?」私の目の前の譜面台に指を伸ばす先輩の手が、肩に当たった。「…あ、はい!」駄目だ、ここで口角が上がったら…ごまかすようにしてすぐトランペットのマウスピースを口にかぶせた。こっちを真剣に見て、アドバイスして下さる先輩はいつも、輝かしかった。必死に吹いたから、顔が赤くなったんだ。…多分。息切れしたからだ、さっきから胸の鼓動が激しいのは。
9/8/2023, 10:17:19 AM