日の光が、格子窓からこぼれ落ちてくる朝の日。
見張り役がうっかり落とした小さな羊皮紙の欠片を拾って、love youとだけ書き残し、紙飛行機にする。名を書いたらばれてしまう。
格子窓から手をそっと出し、紙飛行機をサッと投げた。順調に見えた飛行機は、3秒もすれば斜め左下に脱線し、カサッと小さな音をたて、落下した。
「…届くはずが…ないものね。」
何日も飛ばして来たけれど、あの人の元へ飛んでいったものはもはやなく、すぐそこの草原にも届かなかった。もう、あの人に会うのは、無理なのかしら。
地面に落ちた、羊皮紙の紙飛行機は軍隊の列にグシャッと踏みにじられ、拾おうとするものなど誰一人いない。
哀れな飛行機の上を、鳥が静かに飛んでいった。
お題
届かぬ想い
4/16/2023, 2:04:27 AM