コノハ

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【「こっちに恋」「愛にきて」】

ピロン!

「あら、珍しい」
そう思いつつスマホ画面を開いた。
「えっ」

"こっちに恋"

「嘘。私に恋してるってこと!?
だったら口にで言ってくれれば良いのに~
もう、照れ屋だな~」

そう思いつつ私は返事を送る。

「"こっちに恋って言うなら、愛にきて"」
ぽち。

「あー、送っちゃった送っちゃった!
もう~どうしよう!」
私は足をバタバタさせて返信を待った。
だけど、いくら待っても返信が来ることはなかった。

「もうーなんなの!なんなの!
恋って送ってきたのはそっちなのに!」
私はスマホをベッドに投げ出した。

「…私は貴方に"恋"してるんだからね」

ピーンポーン。

「ん?」
不意に玄関のインターフォンが鳴った。

「こんな時間に誰~?」

全く非常識だな。
そう思いつつドアの穴を覗き込む。

「…え?」

そこにいたのは。
私は慌ててドアを開けた。

「…よぉ」
「…」
「何だよ?」
「何しに来たのかなと思って」
「何しにって…お前が会いに来いって言ったんだろーが」
「…あんたは"恋"って言ったわね」
「あれは…」
珍しく貴方は動揺している。

「…あのさ、"愛"にきてってどういう意味?」 
「それは、」
「…」
「…そ、そのままの意味よ!
それくらい分かりなさいよ!バカ!」
「バカって…」
「なによ…?」
「はぁ…ま、しゃーない」
「は?しゃーないってそれど…ん!?」
貴方が言ったワードに言い返そうとしたけど出来なかった。
言う前に貴方の唇に私の口は塞がれてしまったから。

「…お前に恋してるから、会いに来たんだよ。
そんくらい分かれ、バーカ」

そう言った貴方の顔は思わず吹き出してしまいそうな程、茹でだこみたいに真っ赤に染まっていた。

後々聞けば、こっちにきて欲しいと打ちたかったけど、誤って一番最初に変換されたワードを送ってしまったらしい。
…本当にバカな人。
それでも貴方に恋してる私はもっとバカ…みたいね?

4/25/2025, 4:41:00 PM