白糸馨月

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お題『やわらかな光』

 友達に誘われてギルドを作り、はじめてクエストの仕事を受けることになった。
 俺達の職業は皆、攻撃系だった。剣士、拳法家、魔法使い。一人も回復ができる人なんていなかった。
 でも酒場のおじさんに『ラクショーよぉ』と言われたので、はじめてで逆に気が大きくなっていたのか、俺たちはダンジョンに向かって最弱といわれているモンスターであるスライムを倒しに行った。

 甘かった。
 スライムは、一匹だけじゃなかったのだ。宝箱を守るように何匹かいて、それが寄り集まって大きなモンスターに姿を変える。もうすでに拳法家は倒れてて、剣士も膝をつき、魔法使いである俺は牽制に炎を打つことだけでせいいっぱいだった。
 そのとき、突如現れたやわらかな白い光が俺たちを包む。
 その瞬間、傷が消え、なんだか重かった体が軽くなったような気がした。
 続いて青い光が剣士を包む。剣士は雄叫びをあげながら大きなスライムに斬り掛かった。俺も負けじと魔法を発したらいつもより大きな炎が手から出て驚いた。
 スライムは、両断され、消し炭になって消えた。
 後ろを振り返ると、僧侶が立っている。
「大丈夫ですか? 回復魔法を持たれてないようでしたので心配で」
 その僧侶は美人だった。こんな女神が俺たちを助けてくれたのだと。倒れている拳法家に僧侶がやわらかな光の魔法で包んでいるのが見えて、俺は思わず心で
(結婚してください)
 と呟いたのだった。

10/16/2024, 11:49:03 PM