音の夢

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意識が起き、ぼんやりとしながらベッドから起き上がる。相も変わらずの少し手狭な部屋。小さい頃から、ずっとこの部屋にお世話になっている。最初は酷く広く感じたこの部屋も、成長するにつれて次第に狭くなっていった。使うものも少しずつ大きくなり、物も増えていく始末。最初に部屋に入った時の酷く広くてもの寂しい感じはどこへやら、今はもう人一人が生活できるギリギリぐらいにまで家具やらの物がこの部屋に鎮座している。決して汚いわけではないのだが。
それでも今はまだ片付きつつある方だ。中身がカラのダンボールを見ながら思う。もうすぐ自分はこの部屋から出ないといけない。今の所だと到底行けないような場所に引っ越さなければならない。これまで世話になった、この部屋を棄てて。今度の部屋はこれまでよりも幾分か広い。物も厳選して持っていくつもりなので部屋も広くできるだろう。そう思いながら今日も荷詰めをするのであった。

数ヶ月後、広かったはずの部屋はしっかりと狭くなっていた。ただ、これまでよりもほんの少し、広くなってる気がした。
『狭い部屋』

6/5/2024, 8:44:24 AM