白樺

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 バチンと音が鳴る。
 あぁ私は今、ボロボロと涙を流して弱っている彼女に叩かせてしまったと、嫌に冷静な頭で思った。
 彼女は私の友達である。今日、長い間片想いをしている人に告白をすると息巻いていた。
 私は頑張れとだけ言って別れた。恋愛に興味がないが友達の夢が叶ってほしいと思うのは当たり前だ。
 けれど、放課後にあってみれば振られたとボロボロと涙を流しながら泣く彼女。後ろの夕日に照らされて大きな瞳から雫が流れる様は、とても美しく彼女を振った男は見る目がないものだと考える。
 いや、そんなことを考えてる場合ではない。
 慰めの言葉を探さなくてはならない。…下手に言葉は探さないでただ聞くだけのほうがいいかもしれない。何せ私は失恋したことも、恋をしたこともないのだから。
 そうやってウジウジしていると、親の仇でも見るような目でなんで!?と言いながら手を振ってきた。
 感情的になっている彼女と叩かれて冷静になった私。さっきまでウジウジしていたのに、今ではもう彼女に何があったか聞き出す方法を考えている。
 こんな頭が昔から嫌いだった。
 夏の放課後。暑いくせに、自己嫌悪になるような冷ややかな
水が私の頭を襲った。

6/3/2024, 11:36:12 AM