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風のいたずら

見え透いた両手の嘘、私は知っている
キミがつく淋しい嘘を。
意味のないガラクタのようなひとり芝居の
言葉のカケラが風に舞っているよ。
キミは気づいているの?誰かに差した人差し指を自分に向けてごらん、大人になるにはそこから、ただ生きた年数じゃなくて、考えて生きた年数が問われる。だから経験は重要で「苦労は買ってでもしろ」と昔の人は言った。苦労を知らないまま70まで生きたって、どうしょうもない人の見てくれ一言呟くだけの老害になる。せめて、もう少し愛情込めて人の見てくれどうこう言う時は言いましょう、ならば自然と言葉は長くなる、吐き捨てるような冷たさキツさが和らぐ。70年も生きてたら身につけたいわね。

移りゆく街並みに寂しさを覚える。
「大事なのは変わってくこと、変わらずにいること」矛盾のお守りを子供は理解出来ない。
移りゆく時間の中で、変わりゆくものの中で変わらずにいることはとても難しい、けれどその一炊の夢を諸行無常の中に人は見るから美しいのだ。

たとえば、初恋の人は30年40年時を経て見てくれは変わってしまっても、想い出は変わらない色褪せても変わらずにそこにあるから尊く誰かの心を励ますことが出来る。

たとえば、初恋のアイドルは、スターとは、ファンの夢を壊さない、初恋のアイドルであり続けることを移りゆく時間の中で己の使命とするから見るものを力づける、公園にいるくたびれた無職のオッサンでは駄目なのである。「私が、私であるために」努力が必要なんだよ。

こんなもんだと誤魔化してはいけない、誤魔化しは姿勢に出る。


言ってごらんよ、今幸せはありますか?
丑三つ時にSNSのブルーライトに向かうキミ
素直に生きたいと、誰もが願うのに昼の太陽の下は歩けない、何故なら朝日が昇る頃までSNSのブルーライトを見つめているから。
伝えたいのは言葉なんかじゃないだろ
その頬を伝う涙。

これで全てうまく行くと信じていたのに裏切られた、それはね、キミが信じたその人の一面がキミの想いと違っていただけ、信じたキミにも責任はある、傷は授業料。

何度目かのため息、空っぽな優しさに、世界は灰色で可哀想な自分に浸っていたい?周りに気遣わせるだけ気遣わせているのに気づけないの何故ならキミだけだから自分の心だけ見てるから、自分が嫌いなら鬼って人差し指を差して自分の物差しで他人を図るから。

そんな人に限って、今流行りの「よりそう」やら「多様性」やら「変わらなきゃ」「優しくありたい」「正しくありたい」だのそれこそ多様する、足りないから多様し必要だと叫ぶ。寄り添っていないから
画一的だから独善的だから優しくないから正しくもないからそう有りたいと足掻き他人に期待し求め結局思う通りに得られないと自分の物差しを振りかざし裁く。

でもね、痛いのよ生きるってことは、精一杯生きるって事は死ぬことよりも痛いこと、その痛みを感じることが出来るのが生きているってこと、その痛みを分け合ってもいいんだと気づけることを仕合せと呼ぶんだ。

今夜も浮かぶ月の真下に居るのか?
独りは寒くない?部屋に二人で居て寒いよりはマシなのか?それは冬のせいなのか?

違うよ、キミのせいだ。

伝えたいのは不満なんかじゃなく
一人寝の、淋しさだろ
変わらなきゃならないのはキミの方だ。

変わってしまったから
変わらなきゃならないんだよ
あの頃みたいに。


風の声に耳をすませてごらん。
春の足音が聞こえる、春は必ず来る。
同じように花が咲きコートを脱ぎたくなる
虫やカエルが歌い出す春だ、もしも変わって行って沈黙の春が訪れたならどうだか想像してごらん、変わって行くものの中に変わらないものがある尊さそれが矛盾のお守り。


今 荒城の夜半の月
変わらぬ光 誰がためぞ
垣に残るは ただかつら
松にうたうは ただ嵐

天上 影は 変わらねど
栄枯は移る 世のすがた
写さんとてか 今もなお
ああ荒城の 夜半の月

変わらないものに護られて
変わってゆく弱さ儚さを
素直に感じとらえたらと


風は告げました
春夏秋冬日本人には
四季を愛でる心があります。

移りゆく季節
順番通り変わらずに
おとずれる季節

矛盾の中に私たちは生きているんだよ。

風のいたずら…。


令和7年1月17日

              心幸

1/17/2025, 1:21:52 PM