お気に入り。
その言葉が嬉しくて、苦しくて仕方なかった。
学生時代ろくに人と関わらず、メイクなんてほとんどしたことがないまま迎えた社会人一年目。
配属された部署にいたその先輩はキラキラ光っていて、まさに華という言葉がぴったりだった。
何の因果かその先輩は私の教育係になって、気が付けばよくお出かけするほど親しくさせてもらっていた。
そうして過ごすうちに私の先輩への気持ちも憧れから少し好意を含んだものへと形を変え、あんなに化粧っ気が無かった私が「少しでも恥ずかしくないように」と毎日ちゃんとメイクをするようになっていた。
先輩と仲良しだという他部署の人に会った時、いつも話聞いてるよといわれたときはとてつもなく嬉しかった。仕事外の先輩の中に私の存在があることに感動すらした。
本当に仲が良いんだねと話す他部署の人に先輩が返した、「そうだよ〜!だって大好きなお気に入りなんだもん」という言葉が忘れられない。
ねぇ先輩、私人と関わることに不慣れすぎるから、そんなこと言われたら嬉しくなっちゃうよ。ましてや好きな人に言われるんだもん、都合よく勘違いしちゃうよ。
こんな気持ちはこの先一生打ち明けることはない。
大好きな先輩の「可愛いお気に入り」として、ずっとずっと隣にいられるだけでいい。
2/17/2024, 4:35:29 PM