Moon

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毎日クラブに行ってはお持ち帰りをしていた俺。
いつも本当の自分を押し殺し、ヘラヘラと笑う。
そうすれば大抵の子は落ちる。
俺は今日も相手を探し回っていた。
その時、黒髪の綺麗な子を見つけたから歩み寄ろうとした時、その子がナンパにあっていると気づいた。
よく見るとその子は男だった。
そいつもヘラヘラと笑っていたけど、俺と同じだと思った。
そうやって、笑っていればいい。そうすれば、周りは寄ってくる。
そう思った瞬間、そいつの顔から笑顔が消えた。
その表情を見た時、俺は恋ではないなにかに落ちる音がした。
こいつとは関わってはいけないと本能が言っている。
でも、本能と心は違う。
そいつに声をかけ、そこからの記憶が無い。
目を覚ますと裸の俺に覆いかぶさってくるその男。
どうせこいつも俺の顔だけだろと思った。
だから、俺はそいつに『お前も俺の顔だろ?』と言ったが、
そいつは俺が思ってた反応をしなかった。
『顔?確かによく見るとかわいい顔してますね』と言ってきた。
俺が可愛い?意味がわからない。
そして、何だこの状況…。
手も足も拘束され、身動きが取れない。
どう逃げるか、そう考えていた時、おしりに違和感。
何を思ったのかそいつは俺のケツ穴に指を入れ始めた。
声が抑えられない。
気持ち悪い俺の声。それをそいつは可愛いという。
思考がまとまらないどころか真っ白になっていく。
その中聞こえる可愛いという言葉。
脳が痺れる。
笑わなくても、本当の俺でも可愛いというこいつに俺は認められた気がして沼り始めている。

沼に落ちるとはこういうことかと思った。
俺は落とす側で落ちる側ではないと思っていた。
だが、違うみたいだ、
快楽に堕ち、沼に落ちていく。

【落ちていく】

#91

11/24/2023, 6:53:44 AM