もーこ

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心が芽吹くような、そんなちょっとした感情の揺らぎ。
いつの間にか感じるようになって、それは何度も繰り返していく。そのうちに気づいた。僕は"彼女"に恋心を抱いている、ということを。
彼女は、なんてことない同級生でしかなかったし、関わる機会なんて無かった。これからも差程ないだろうと思っていた。
しかし、とある時にふと呟くように話した、とあるアニメの話。その時に、彼女は過去一番に食い付いたのだ。あの時の目の輝かせ方、身の乗り出し方、「自分だけでない」という感情の現れだろう。多分、僕も同じ様子を浮かべていた。
そこから、熱く語っては、真っ暗な空を見て慌てて二人で帰る、でも帰りながらもまた語る…そんな日々が続いた。この時までも自分は彼女を友達以上に感じていなかったのだから、驚きだ。

ふと朝目覚めた時、布団の中で気づいた。
あ、これは好きだな。告白したい。と。
さて、最悪告白の失敗については差程恐怖を感じていない。むしろ、告白によって友達関係でない何かに変わるのであるから、それが他人であれ恋人であれ、変わるのだ。それが怖いのだ。
もはや自分でも何を言っているのか、分からないままどこか浮き立つ気持ちで登校する。よくもまぁ道中轢かれなかったものだ。クラクションの音が未だ耳腔に響いているが。
その人の顔を見て、やっぱり朝の感情は尚顔を出す。なんなら今朝より感情はハッキリしている。
「あ、あのさ……!」
最早衝動とも捉えられる僕の誘いに、彼女は簡単に承認してくれた。
成功か失敗か。恋人か他人か。

僕はまだ、愛おしげに笑ってくれる君を、知らない。

1/30/2025, 12:12:49 PM