俺は目的地について、スマホの時計を見る。
彼女とのデートの時間まであと一時間。
遅れてはいけないと、いつもより早めに出たが早すぎたようだ。
当然、待ち合わせの相手はまだいない。
どこかで時間をつぶすか、このまま待つか。
まわりを見ても、時間をつぶせるような物は見当たらない。
道を戻るのも面倒なので、このまま待つより他にない。
幸い今日は冬だというのに、春を思わせるような暖かさ。
このまま待っても、凍えることはないだろう。
近くにあったベンチに座る。
日に温められたのか、ほんのり暖かい。
座っても見て面白いものがないので、なんとなく空を見上げれる。
空は一つない冬晴れだった。
冬で空気が澄んでいるのか、いつも見る空よりきれいに見える。
別に面白いわけでもないのだが、なんとなくずっと見続けることが出来た。
しばらくすると、ポカポカ暖かいので眠気がやってきた。
いつもより早く起きたので、少々寝不足なのだ。
少し考えて、寝ることにする。
やることもないし。
目を閉じると、そのまま夢の世界に落ちていく。
どれくらい寝たのか、意識が覚醒する。
時間を見ようとスマホを取り出そうとすると、誰かが肩にもたれかかっていることに気が付いた。
待ち合わせをしていた彼女だった。
彼女は、規則正しい寝息を立てて気持ちよさそうに寝ている。
起こすべきか迷ったが、とりあえず今の時間を確認することにする。
スマホを見ると、まだ待ち合わせの時間の三十分前だった。
少し考えて、時間までこのまま寝かすことに決める。
別に急ぐこともないだろう。
もう一度彼女をみると、とても気持ちよさそうに寝ている。
これだけ気持ちよさそうに寝ていれば、起こすのは気が引ける。
彼女も、俺が寝ているのを見て起こすのをためらったのだろう。
空を見上げれば、さっきと変わらない冬晴れの空。
相変わらず、太陽が暖かい陽気を降り注いでいる。
寒がりの彼女とデートするにはいい空模様だ。
俺はそう思いながら、あくびをかみ殺すのだった
1/6/2024, 9:58:59 AM