G14

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 俺は目的地について、スマホの時計を見る。
 彼女とのデートの時間まであと一時間。
 遅れてはいけないと、いつもより早めに出たが早すぎたようだ。

 当然、待ち合わせの相手はまだいない。
 どこかで時間をつぶすか、このまま待つか。
 まわりを見ても、時間をつぶせるような物は見当たらない。
 道を戻るのも面倒なので、このまま待つより他にない。
 幸い今日は冬だというのに、春を思わせるような暖かさ。
 このまま待っても、凍えることはないだろう。

 近くにあったベンチに座る。
 日に温められたのか、ほんのり暖かい。
 
 座っても見て面白いものがないので、なんとなく空を見上げれる。
 空は一つない冬晴れだった。
 冬で空気が澄んでいるのか、いつも見る空よりきれいに見える。

 別に面白いわけでもないのだが、なんとなくずっと見続けることが出来た。
 しばらくすると、ポカポカ暖かいので眠気がやってきた。
 いつもより早く起きたので、少々寝不足なのだ。

 少し考えて、寝ることにする。
 やることもないし。
 目を閉じると、そのまま夢の世界に落ちていく。



 どれくらい寝たのか、意識が覚醒する。
 時間を見ようとスマホを取り出そうとすると、誰かが肩にもたれかかっていることに気が付いた。
 待ち合わせをしていた彼女だった。
 彼女は、規則正しい寝息を立てて気持ちよさそうに寝ている。

 起こすべきか迷ったが、とりあえず今の時間を確認することにする。
 スマホを見ると、まだ待ち合わせの時間の三十分前だった。
 少し考えて、時間までこのまま寝かすことに決める。
 別に急ぐこともないだろう。

 もう一度彼女をみると、とても気持ちよさそうに寝ている。
 これだけ気持ちよさそうに寝ていれば、起こすのは気が引ける。
 彼女も、俺が寝ているのを見て起こすのをためらったのだろう。

 空を見上げれば、さっきと変わらない冬晴れの空。
 相変わらず、太陽が暖かい陽気を降り注いでいる。
 寒がりの彼女とデートするにはいい空模様だ。

 俺はそう思いながら、あくびをかみ殺すのだった

1/6/2024, 9:58:59 AM