るに

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初めて特別かもって
思っちゃった。
スンってした顔。
真剣そうな目。
低い背。
ゆらゆら揺れる、
クラゲヘアーを低いところで
ひとつで括った髪。
黒猫みたいな人。
でも力強さを感じて
足を大きく広げて立っている、
可愛くてかっこいい姿。
わからない。
私にはこの感情が
この人が特別だと思ったのか、
広い世界を知らなさすぎるのか。
もしかしたら来年は
ここに居ないかもしれなくて、
そう思ったら胸が苦しくて、
またあの横顔を見たいって思って。
ずっと見ていたいって。
でも許可なく写真は撮れない。
一応犯罪を犯すつもりは無い。
1、2年前、
毎日絵を描いて
ある程度の画力を付けておいてよかった。
目の中に閉まって
頭で記憶したあの人を
真っ白な紙に描くことができた。
けどその顔は
スンっとしていた。
そりゃあそうだ。
私はスンっとした顔しか見ていない。
まあ、欲張りは言えない。
2時間、3時間と
絵に描いたその姿、顔、髪を
眺め続けた。
特別かもって思っちゃった。
でもこの特別は
多分危ない。
一方的過ぎてキモチワルイ。
あぁ、
もっと去年とかに
出会えてたらなぁ。
好きかもという気持ちは
推しという言葉に変えて
推しを描くのはこの1枚で最後にした。
"Good Midnight!"
紙が少し濡れていく。
私の頬も濡れていく。
もちろん拭わない。
涙の跡は自分と戦った印だから。
数え切れないほどの気持ちを
毎回沈めて来たのだから。

7/26/2025, 5:35:22 PM