バスクララ

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「ごっめーん!! 待った!? 待ったよね!?」
 汗だくの友人が走ってきて開口一番私にそう言った。
 二時間近く待たされた身としてはそんな謝罪じゃ許さないつもりだったけど、それとは別に妙に友達の身なりが乱れてる気がした。
 髪の毛はぐしゃぐしゃで服にも汗がびっしょり。しかもどことなく汚れているような……
 本気で走ったにしてもここまでなるだろうか?
 気になって聞いてみると友達はちょっと言いにくそうに頬を掻いた。
「あー……そのー……、星を追いかけてたっていうか……」
 その言葉に私はついに友達がおかしくなってしまったのかと衝撃を受けた。
 星を追いかけてた? こんな真っ昼間に?
 動揺が顔に出てたのか友達があわあわしながら私に打ち明ける。
「実はさー……すごい大捕物があって、なんか流れで私もそれに参加しちゃったんだよね……
それで夢中になって犯人逮捕まで見届けてたらこうして遅れちゃったわけ……」
 さっきの星はホシというわけか……と納得はしたけど、それはそれなので、友達には罰として今日の映画代を奢ってもらうことにした。
 友達はわかりやすく肩を落としてたけど最終的には仕方ないかぁ……と受け入れていた。
 そして後日、友達は警察から感謝状を贈られたらしい。
 詳しく聞こうとしても必ずはぐらかされるけど……いったいどんな貢献をしたんだろう?
 それだけがちょっと、気になる。

7/21/2025, 1:35:02 PM