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cloudy:



君からの返信がひどく遅かった。
君が自分以外の異性と映った写真を見た。
君の口から知らない誰かの話を聞いた。

知らない君がいるだけで、心に分厚い雲がかかる。君が笑うのを見るだけで幸せだと思っていたのに、その笑顔が自分に向いていないことが分かると胸が苦しくて仕方ない。

君だけのものでいるから、君もどこかへ行ってしまわないで。ここだけに閉じ込められていておくれ。愛しい太陽を独り占めさせてよ。たとえ世界に光が射さなくても、君さえここにいてくれたらそれでいいんだ。

そんなことを言えば、君の心も表情も曇ってしまうということを痛いほど知っているから、今日も本音に蓋をした。まぶしい太陽は今日もみんなのもの。曇り空の下からじゃあ、手を伸ばしても届かない。

「君さえ笑顔でいてくれたら、それでいいんだ」

分厚い雲がかかる空の下、曇り声の呟きが嘘か本当かなんて、だれも知らない。知らなくていい。

9/22/2025, 12:22:21 PM