消えた星図を探してたどり着いたのは
星の無い国に住んでいる少年の家だった
どこをどう流れ着いたのか
少年は星図を海で拾ったと話した
この星の無い国では
星図などなんの意味も持たない
でも少年は
大切に古びた机の引き出しの奥に
そっとしまっていた
引き出しを開けた瞬間
金色で描かれた無数の点が光を反射し
そこは数々の星々が瞬く夜空のように
輝いた気がした
これが何かと問う少年に
星の話を聞かせた
この国の空気は暗く淀み
厚く濃い灰色の雲が
大地と空の繋がりを断ち切るように
広がっている
空を見たことの無い少年は
輝く瞳で私の話を聴きながら
まだ見た事のない
空を星の輝きを
その小さくも無限に広がる頭の中に
描いているようだった
そして少年は言った
「僕がこの国に星をとりもどすよ」
少年の目に一瞬
流れ星が流れた気がして
私は祈った
この少年の心の星が
輝きが
永遠でありますように
10/16/2025, 2:31:09 PM