深夜零時にウォーキング
垂直に見上げれば天頂に満月
歩いても走っても変わらず頭上照らす
丸く光るあれはきっと井戸の縁
誰かが覗いているに違いない
屈折と乱反射が彼の姿を隠す
僕は海底を往くチョウチンアンコウ
餌を探し、月影を踏みしめる
天頂から垂れた釣り糸を見つけたら
思わず食べてしまいそう
冷えた夜霧をヒレで押し出し
息を吐けば白い泡が月まで届く
点滅する自販機はクシクラゲ
枝を広げた街路樹はコウモリダコ
油断した僕を待ち構えている
冬空にポツリ浮かぶボーイング
ハダカイワシ或いはデメニギスか
ここは水底、深海ウォーキング
澄んだ黒い静寂が僕を包む
1/13/2025, 3:19:04 PM