カフェで男女が向かい合って座っている。
何分くらいたったのだろうか。
男は、視線をコーヒーカップに落とし、汗をダラダラかいている。
女は、大きい目で男をじっと見ている。
「ねぇ、聞いてる?」
男は頭をフル回転させて考えていた。
女がため息をつく。怒っているようにも見える。
「何で、何も言わないの?」
びくっと男の体が動いた。膝のうえで握りしめた手に力がこもる。
「せ、席を間違えてますよ」
女はメガネをかけた。
「あ、すみません。間違えました。」
悪びれず、さっそうと席を立ち、足早に女は店を出ていった。
一人残された男は、「ふーーー」と、長い息を静かに吐き出した。
「あぁ、怖かった」
ハンカチで汗をぬぐって、冷たくなったコーヒーを一気にながしこんだ。
3/16/2026, 3:38:47 PM