「ほんとうの家族」
物心ついた頃、すでに親族がいなかったから、血の繋がりのある者同士の関係は、今でもよくわからない。
育ててくれた人たちは、本当の子供のように、優しく、時には厳しく接してくれていたけど、本当の親ではないことは、わかっていたのだ。
「あー、やっぱりそうだったのか」
成人したから、と本当のことを告げられた。
妙に冷静な自分に思わず笑いそうになる。
「気付いてたのか」
「んー……なんとなく……」
たぶん、本能的なものなのだろう。
あと、顔が似てない、というのもある。
「でも、父さんと母さんが、俺の両親であることは変わりないから」
心からそう思う。
「育ててくれて、ありがとう」
────これまでずっと
7/12/2024, 2:33:44 PM