君と見た虹は、どこまでも果てしなく遠くまで続いていた。
「さあ、行こう」
君は、こちらに向けて手を差し出す。
ためらいながらそれを取ると、君は虹の上に足を踏み出した。
「怖がらないで。大丈夫」
笑いながら、君は言う。
引っ張られるように、虹の上に立つ。
数歩歩いてみても、それは崩れる気配などない。
どれくらい歩いただろうか、おっかなびっくり見下ろしてみる。
と、足元には自分が暮らしている街が広がっている。
これは一体、どういうことなんだろう。
疑問に思った途端虹の橋は霧散し、君の姿も見えなくなった。
落ちていく感覚に思わず悲鳴を上げる。
気がついた自分の体は、無数の管に繋がれていた。
「先生! 患者が意識を取り戻しました!」
そんな声が、耳に飛び込んできた。
2/22/2025, 2:08:52 PM