裏表のないカメレオン

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 ひょいと箸でつままれた唐揚げは、その肉厚のダウンを脱ぎすてた。
 かなしげに彼女は薄着になったそいつを見つめる。
「寒そう」
 そして、あんぐりと空いた口へ放り込んだ。
 唐揚げは彼女の胃にすっぽりおさまったらしい。満足そうに彼女は腹をさすり、口外にガスを吐き出した。
「ご馳走さま」
 手を合わせたところで、一部始終を傍から眺めていた男は口を挟んだ。
「まだあるけど?」
 男の持ち上げたトレイはゴロゴロと音を立てた。そっと彼女が覗きこむと、胡麻団子が三つ転がっている。
「もう食べられないよ〜」

1/11/2024, 11:56:45 AM