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春恋の続き

どこへ行こう

南ハル 十六歳 彼は、今 人並みに
悩んでいた。

(一体 何処に行こう?....)

今の季節だとお花見だろうか.....
桜は、まだ見頃だった気がする.....
学校へ行く時は、全くやる気が出ない
南だが こと 遊びとなると話は、
別だった お花見に必要な物は、
何だろうと考える。

お弁当は、もちろん必須だ....
レジャーシートも場所取りの為に必要だろう その為には、人数が居る
誰を呼び寄せようか....
南は、スマホの電話帳を開く
そうして一人の友達の番号にかける。

「あっ もしもし アキ ハルだけど...」

「忙しい!」 「まだ何も言ってないけど...」「お前が俺を誘う時は、大抵録でも無い事をする時だ」

「いやだなあ~ 俺は、唯 次の休みに
何処か行こうって誘おうとしただけじゃん
お花見とかどうかなあと思って....」

ハルのそんな言葉を聞きアキは、電話口で
ため息を吐いた。

「ハル!お前の誘いが嬉しく無いわけじゃ
無いが.... いい加減 お前 他に友達作れ
お前高校に入ったら自分で友達作るって
息巻いてただろうが~ 入学前の
テンションは、どうした? 俺は、
お前とは、学校が違うんだから 学校帰りに待ち合わせする位しか手助けできねぇぞ!」

アキの指摘にハルは、電話口で一瞬黙る。

「だって.... やっぱり髪の色が目立つからか何となく皆 俺に近寄りがたいオーラを
出すと言うか....何と言うか....」

ハルの声が尻窄みになって行く
ハルの赤い髪の色は、地毛だ おまけに
顔も綺麗に整っているからか 周りの人達は憧憬の眼差しで、ハルを見て居る人が多い それは、決して悪い視線では、無い事もハルは、理解しているのだが....

その容姿のせいで中学では、大多数の人に
告白され 謂われの無い嫉妬で喧嘩を
売られ 散々な目に遭って来たのだ
だから唯一の話しやすい友達のアキとも
別れた高校に入り 一からやり直そうと
頑張ろうとしたがやはり視線は、変わらず

人に話しかけられない様にひたすら寝た振りにかまけていたら今では、何処でも本気で寝れる様になってしまい いつでも眠気を催す様になってしまった....。

「一人位 居ないのかお前が仲良くなれ
そうな奴 もう学校通って随分立つだろう」 アキの言葉にふいにハルの頭に浮かんだ一人の人物

「一人.... 面白そうな子が居て 思わず
一緒に帰った子が居たけど....」

「それって....お前の方から一緒に帰ろうって言ったのか?」 アキの質問にハルは、
「まぁ....」と素っ気なく言う。

「凄い進歩じゃ無いか どんな奴なんだ」
「隣の席の子なんだけど....」
「良かったじゃ無いか」とアキは、嬉しそうにハルに向かって言う

しかしアキのその言葉にハルは、煮え切らずに言う。

「いい子なんだけど....その子 女子なんだよね....」

その言葉にハルのトラウマを知っている
アキは、何となく察する。

「ねぇアキ....男女の間に友情は、成立すると思う?」

その言葉にアキは、しばらく逡巡し....
「お前もしかしてその子が自分の事好きに
なったらどうしようとか考えてるだろう...」 

アキの言葉にハルは、「何で分かるの?
やっぱりアキは、凄いね!」と嬉しそうな
声を上げたがそれに対してアキは、
怒鳴った。

「馬鹿か~お前はぁ~そんな事で尻込みしてどうする それでその子がお前の事好きになったらお前は勝手にその子に失望する
のかよ~ そんなのその子に失礼だろう!

たとえ同じ状況になったとしても同じ結果になるとは、限らないだろう!勝手に想像して諦めてんじゃねぇ!」

アキのその言葉にハルは、目を丸くする。
「アキ....」ハルは、アキの名前を呟き
電話口で下を向いていた。
そうして決意した様に....

「うん!分かった俺頑張ってみるよ!
何かあっても俺には、アキが居るしね!」

「おう その意気だ頑張れよ!」



そうしてアキは、ハルとの電話を切った。

(たとえ思わずでもあいつが自分から
誘って話しかけたんだ これは凄い進歩だ
これは....もしかしたら もしかするぞ....)

あいつは、相手に夢中になられる事を
心配してたけど.... もしかして 案外
逆になったりしてな.... まぁそれはそれで
あいつにとっては、良い傾向だけど....)

そんな事を考えアキは、片手で頬杖を突いて口端を上げた。

4/24/2025, 9:23:56 AM