佐々宝砂

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心の深呼吸

深呼吸の必要があるのは確かだ。しかしここで深呼吸する気にはならない。甘ったるくて鼻持ちならない空気のなか、ぼくは鼻をつまんで走り抜ける。ここで立ち止まってはいけない、あいつらに食われてしまう。ある日突然地球に現れた怪物ども、べっとりと赤いルージュ、強すぎる香水、なぜあいつらはあんなに女に似ているのだろう。どこか静かなところで心を落ち着かせて深呼吸したい。深呼吸なんて最後にしたのはいつだろう。

11/27/2025, 10:20:03 AM