「イチ、ニ、サン、シ、ゴ、ロク、シチ、ハチ……」
築三十年のアパートの一室。
ブツブツ言いながら何をやっているかというとストレッチ体操である。
最近、眠りに就く前の日課として毎日やっているのだ。
なぜガラにもないことをやっているのかというと、自立神経の乱れか、それとも酒の飲みすぎなのか(たぶん後者)分からないけど、ここ数ヶ月ほど眠りの浅い日が続いていた。そこでネットを使って解決法を模索したところ、ストレッチが安眠にいいという記事を見つけて実践しているのであった。
余談になるが安眠に効くというGABAとビタミンBのサプリも大量に摂取している。結果、お腹をちょっと壊した。
「イチ、ニ、サン……ぐっ、きつい……」
自分でも何をやっているかよく分からないヨガのようなタケノコのポーズをとりながら呟く。一人暮らしでよかった。こんな姿を誰かに見られたら確実にツッコミをくらう。
ストレッチが終わったら次はプランクだ。
プランク…聞き慣れない名詞だ。
これは、いわゆる仰向けの状態から上体を起こして腹筋を鍛える古いやり方とはベツの、近代的な筋肉トレーニングである。腕、腹、太腿の3点を同時に鍛えることができる、米軍でも採用されている科学的に正しい洗練された最先端の筋トレなのだ。
やり方は至って単純。うつ伏せの状態で肩の真下に肘を置き、つま先と両肘のみを地面につけ、頭から足までを一直線に伸ばした状態をキープする体幹トレーニングだ。これからやってみようという男性は、まずはスマホのタイマーで1分を設定して、状態をキープすることをおススメする。女性なら30秒だ。
ちなみに俺の設定しているタイマーは1分21秒だ。
『昨日の俺より少しだけ強く』をモットーとしているので、三日に一度、設定タイムを一秒延ばしていった結果そうなった。
「……ぬっ、ぐっ」
残り時間20秒ほどで悲痛の声が漏れる。
ただうつ伏せで体勢を維持するだけじゃん、余裕だろ? と思うかたがいたらやってみてほしい。思いのほかキツイし、汗も結構かく。
ピピピピピピ……
スマホのタイマーがトレーニングタイムの終了を報せる。
プランクを終えた俺は水をガブ飲みし、その後ベッドにダイブした。
「あー、疲れた、これでぐっすり眠れる」
ちなみに、寝る前の筋トレはアドレナリンが出て眠れなくなるので厳禁だ。水をガブ飲みするのも、夜中トイレに行きたくなるのでよろしくない。
いっぺんに全部やろうとするのではなく、計画的に……
具体的に記すと、
朝、起きてから3時間後に筋トレ、その後整理体操のストレッチ、サプリを飲み、シャワーを浴びて、太陽の日差しを浴びながら少量のカフェインを摂って散歩するのがベストだ。
ッて、そんなのできるか!起きたら顔洗って寝癖直して歯磨いて出勤するので一杯いっぱいだ!
そう考えると俺は寝つきが悪いだけで、いつもギリギリまでまどろんでるんだなと実感する。
11/2/2024, 11:17:45 AM