【あなた】
2人で床に寝転がる。
他人を家に入れるのは初めてだった。
「飲んじゃったね。お酒。」
『ね。ビール、あんな味するんだね。』
高校から一人暮らし、私は初めて友達と笑った。
「あともう一個ずつ、」
『飲んじゃお。アルコールで肝臓いっぱいにしよ。』
そう言って2人でぬるいビールを飲んだ。不味いけど、ふわふわしてたからあんまし気にならなかった。
お互いに向き合うように寝て、互いの手を握り合う。
「あったかいねぇ。」
『もしかして、酔い始めてる?』
「うん。ちょっと、いや、けっこうやばいかも。」
学校終わり、急にピンポンしてきて。あなたは、何故かコンビニの袋に沢山の缶を入れて持ってきてさ。
あたし、あなたのそゆとこ好きだよなんて言えないけど。メイクも落としてないし、課題も終わってないし。
ぼろぼろだけど、あなたといる時は幸せって思ってる。
目の前ですやすや眠るあなたを見てそう思った。
『これからも続いたらいいなぁ。』
「そうだね。」
寝ていたと思ってたあなたが急に喋るから驚いた。
『…起きてたの?』
「んふ、うん。」
繋がれた手の温かさを感じながら、私たちは眠りについた。
明日も、明後日も、毎日は呼吸みたいに当たり前に続いてく。私の物語は、終わんない。
終わらない物語の中で、あなたは最重要人物だよ。
【終わらない物語】
1/26/2025, 8:46:16 AM