僕が連れてこられた家はとてもにぎやかで仲のいい家族と一緒だった
でも今日は何故か、
いつもと違ってとても静かだ
僕の置き場所は決められていて
そこからは窓から見える庭や
キッチンで料理をしているお母さんの後ろ姿
でも今日は僕から見える景色は違う
窓から見える庭はガラッとしていて、キッチンの上に置いてあるものは全部無くなっている
まるでとても生活感がない感じに見える
もしかしてこれは
僕たちの中でたまにあるあれなのか?
安心しすぎていたな
僕はとても大事に扱われてる気がしてたから
こんなことがあると思ってもいなかった
さみしい
僕で遊んでくれた子は、きっとどこかで楽しんでいるかな
ん?なんだ?青い動くものが外に止まったぞ?
なんだろう、
ゴミがたくさん後ろに入ってる
あれ、掴まれてしまった。
ここの
家から出たくない
なんだ、僕はどこに連れていかれる
『 僕の家族』
この青い動くものの後ろに今から僕は投げられるであろう
初めて見たが、何となくわかっていた
投げられるとき時間が止まったような気がした
僕の背中から、1枚の写真がヒラヒラと地面に落ちていった
それは、僕が君の家にやってきて、君が喜んでいる姿
微笑ましく笑っている君の両親が映っていた
運良く、その写真はうちのポストに入っていった
僕を見つけてくれてありがとう
君は、きっと遠くの町へ行ってしまったんだね、
『 ありがとう』
僕から出るはずのない涙というものが
一瞬こぼれ落ちた気がした
#遠くの町へ
2/28/2023, 2:05:10 PM