紅みかん

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学生の頃はよく絵を書いた。
自由帳の真っ白なキャンバスから
溢れんばかりのイラストを。
授業中のノートの片隅に
ひっそりと小さなイラストを。

楽しくて楽しくて寝る間を惜しんで
ただガムシャラに書き続けた。

いつしか大人になって仕事に追われる日々が始まる。
熱中できることもなく、会社と家との往復ばかり。
すべてに嫌気が差してあの頃に戻りたくて
またペンをとってみる。

――上手く描ければ収益になるかも

思った瞬間に利益を求めている自分に嫌悪が湧く

純粋に夢中になったあの日々を懐かしく思うことすら
罪のようでズキリと胸が痛んだ。

10/30/2022, 12:41:29 PM