REINA

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だから、一人でいたい。



大切な人が私の目の前から、いなくなったあの日。
枯れ果てた泉のように、一滴も涙は出なかった。

悲しいとか、苦しいとか、そういう感情が無かった。
いや、あったのかもしれないけれど、
後から思えばそれは自己を防衛するために、
固く扉を閉めていたのかもしれない。

埋葬されても何も感じることが出来なかった。



それから一年。
この日は命日だ。

父が大好きな花を買っていった。
小さい頃から、私によく薔薇をくれた。

正直言うと、私が薔薇を好きだったから、
父が買ってきてくれたのかもしれない。

お墓に添えるには違う花がいいのかもしれないけれど、
でも薔薇が良かった。

今日は学校をお休みした。
今日だけは父のことだけを考えたかった。
だから、一人でいたかった。

教会に行ってお祈りをした。
父の大事にしていた日記を見つけたので読んだ。

私のことがたくさん書いてあった。

書かれている文字のインクが涙で滲む。
ようやく泣けた気がする。

7/31/2024, 1:04:33 PM