Saco

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ありがとう、ごめんね

私は、膝を抱えて 土手の芝生で
泣きじゃくって居た。

涙が いくつも いくつも 瞳から
溢れて止まらなかった。

私はいつも 皆の輪を乱す。
皆が 右と言う所を 私は左と言い
皆の気分を害する。

順調に行っていた 円滑に進んでいた
物事を 私の一言が 全部
台無しにする。

だけど 私は、黙っては いられない
だって 確かに正しい事だって
寄って集って 正論をぶつけて
それしか 選択肢が 無い様に
狭められたら 他の選択肢が消えてしまう
分かってる 多数派が
正しい風に扱われる事は...

少数派の 私は、異物と認識されて
しまう事も... だけど...


「また 派手にやったなぁ~」

ふと 泣きじゃくっている 私の
後ろから 声が掛けられた。

瞳に 涙を溜めて 唇を噛み締めて
私が見上げると

ポンと 私の頭に大きな手が 置かれる。

「何で 此処に・・・」

私は、嗚咽を漏らしながら
私を見上げる 幼馴染みに問い掛けた。

これもまた いつものパターン
私がクラス内で 喧嘩をして
問題を起こすと 仲介役として
迎えに来るのが この私の幼馴染みだ。

私がいじけて 泣きじゃくる場所も
心得ているので 私が クラスの人と
口論して 学校を飛び出すと
必ず迎えに来るのが この
幼馴染みの役目になっている。

幼馴染みにいつも 迷惑を掛けているのは、自覚している。

その事には、罪悪感も持っている。
私は、幼馴染みに...

「ごめ.....っ」と言いかけ

「じゃあ帰るか!」

幼馴染みは、何でも無い様に
私の ごめんねの 言葉を遮る。
幼馴染みは、私を促す事もせず
背中を向けてゆっくりと歩調を
緩めて 私が 追いつける
速度で歩く

私は 涙を 手の甲で 拭い
立ち上がり 幼馴染みの
背中を ゆっくりと 追い掛ける。

そして 幼馴染みの 隣に 並び

さっき 遮られた言葉を...


「ありがとう!」に替えて
学校へと 二人で 戻って行った。

12/9/2023, 3:02:01 AM