能力者になりたい佐々木海星(偽名)

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【病室】
 ここに来ればあの頃を思い出す。花奏と一緒に遊んだ最後の思い出。僕らはまだ高校生だった。勉強も部活もして、青春真っ只中だった。でも、花奏が病気になって…。あの頃に戻りたい。また会いたいよ〜。そう思わずにはいられなかった。
 早く気付けばよかった。早く病院に連れて行くべきだった。僕が近くにいたのに。わかっていたのに。そんな罪悪感が積もるばかり。いっそ、僕も花奏を追うように、この世から逃げようかとも思った。友人として、幼馴染として、ほんとに家族のように接していた。何かあれば僕は花奏に全部話していた。僕は花奏を慕っていたんだな。
 暑い夜だ。会社帰りに中華街を回る。いい居酒屋を見つけた。今日は愚痴るとするか。
海星「失礼します。」
蓮「はい、いらっしゃい。」
聞き覚えのある声だ。

8/2/2024, 12:56:12 PM