私はよく風邪をひく子どもだった。
熱はあまり出なかったが、喉が弱かったのか咳がひどく、特に夜は辛かった。
甘えん坊だった私は、そんな時は余計に母にべたべたとまとわりついたものだったが、不思議なことに母に風邪がうつることはなかったようだった。
私は母が寝こんでいるところを見たことがない。
なんで、お母さんは風邪ひかないの?
気合いよ、気合い。
布団をかぶった私が聞くと、母は笑ってそう答えた。
そして今。
「気合いよ、気合い」
いつの間にかすっかり丈夫になった私は、あの時の母と同じ言葉を娘に返している。
12/16/2023, 12:05:13 PM