嗚呼、お月様 お月様
どうか願いが叶うなら
私たちを お助け下さい
厄災が 私たちの思い出を 踏み荒らしています
あなたがお望みであるのなら
この身も心も 命さえも 捧げましょう
嗚呼、お月様 お月様
どうか願いが叶うなら
あの哀れな娘を お助け下さい
彼女には 病弱な両親がおります
あなたがお望みであるのなら
私は悪になり 不幸になっても構いません
嗚呼、お月様 お月様
何故ですか 話が違います
あなたに命を捧げた彼女は還らないのに
もう二度と 助からない命なのに
私は悪になり 全てを失ってしまいました
常に牙を剥く危険な狼は
あなたに再び祈ることすら許されないのですね
この運命は 必然であったのか
それとも本当に 月の気紛れなのか
どちらにしようが 月は満ち欠けを繰り返す
時間と共に その光を纏いながら
月は今宵も私たちを見下ろし
見守っているのだ
嗚呼、お月様 お月様
どうか願いが叶うなら
続く言葉は 口から出ない
けれど 今宵も命あるものは
明るく眩しい朝とは違う夜を
孤独に 不安に 残酷に思い
跪くのである
___ 4 月に願いを
5/26/2023, 12:38:36 PM