言葉にならないもの
ずんずん歩くと、耳のそばを風が抜ける。
どの音か、どんな言葉かわからないけど優しいと思う。風と対話できるわけではないけど、私は日本語で風に話す。
鳥の声を聴くと、とりあえず真似してみる。
自分の音感ではとれない音、ドレミファソラシドではない彼らの言葉。
真似してみたらたまに返してくれるけど、それでも私の日本語では通じない。
換気扇の音。聴いていると心地いい。
言葉ではないけれど、誰か歌っているように聴こえて合わせて歌ってみる。
ここに私の日本語を合わせると、すごく不自然になる。
この世界では、実は言葉を話す事の方が不自然で、言葉にならないものでできていると思うんだな。
音、色、そんなふうに勝手に名前をつけてはみたけど、そこに言葉を当てはめると、とたんに違うものになってしまう。
言葉は美しい。でも、人が勝手に作ったものだから、全てを言葉で表そうなんて、どだい無理な話なんだ。
このお題のおかげて、妙に言葉について考えた夜。
8/13/2025, 3:04:57 PM