霜月 朔(創作)

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信号



誰も居なくなった街に、
静かに流れるのは、
風が奏でる、滅びの歌。

人々が行き交い、
子供の笑い声が響いたのは、
もう、過去の事。

人間の去った街は、
自然へと還っていく。
人の気配は、
緑に覆われていく。

朽ちていく。
記憶と共に。
哀しみの涙の雨に、
崩れ行く街が滲む。

誰も居ない街に、
赤と青の灯りが、
孤独に光る。

誰にも見られない、
なのに、動き続ける信号。
私の心の中に、
赤と青が滲む。


9/6/2025, 5:39:55 AM