まそむ

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子どもの頃、立山に登った。家族四人で。
午前二時ごろに宿を出て、登山道を歩いた。
降るような一面の星空。遠くの冠雪した山々がまるですぐ蹴飛ばせるような距離に見えた。

登山は初めてで、その前に白馬大雪渓を歩いたことはあったが、足の血行が悪く冷えてすぐ霜焼けが出来るわたしには大雪渓は無理だった。他の子供達に頭を下げて泣きながら下山した。
だから立山が初めてちゃんと登山として向き合った山であった。

老人会のかたがたにどんどん抜かれながら、山を登る。父は山男、兄はワンゲル部。最初に音をあげたのは母だった。次に寒さに弱いわたし。夏山でもとても寒かった。兄は歩くと暑いと言って上着を脱いでいたけれど。

凍てつく星空を背に登り続け、空が白んで星が消える。登頂し雲海の向こうに御来光を拝む頃には、全身冷え切っていて、わたしはお汁粉を飲ませて貰ったけれど、飲むそばからお汁粉は冷えていった。

そんな思い出。

【凍てつく星空】

12/1/2025, 10:13:10 AM