永身未来

Open App

私は、今、片思い中なんだ。中也っていう、大学生の男の人に。中也はね、なんでもできるの。料理、家事、お仕事、運動、勉強。なんでもできる。顔だってカッコいいし、性格だって素敵。身長は小さいけれどね。(160センチくらいかな?)そんな人と一体何処で出会ったかというとね、私が道に迷っている時だったの。その時は、スマホの充電が切れて、地図もなくて、公園で1人泣いていた。そんな時に、中也が、
「大丈夫か?」
って、声をかけてくれたの!顔を覗き込んでくれて、上目遣いになってて、とっても可愛いかった!その時は中也に目的地まで案内してもらったのだけど、物凄く紳士で惚れ惚れしちゃった。そこから、中也とは連絡先を交換して、そこで、私と同じ大学に通っている事がわかったんだ。たびたびデートに行ったりもした。デートでもやっぱり、カッコよかった。
でもね、私、今とっても悲しいんだ。中也はどうやら別のオンナが好きみたい。私がどれだけアタックしても、中也は友達としてしか接してくれない。友達として、でしか愛してくれない。私が欲しいのは、中也の"カノジョ"としての愛。どうやって中也の頭から私を離れなくさせようか、色々考えてやってみたはいいものの、中也からはストーカーと勘違いされちゃった。ただ、ポストに恋文を入れて、ちょっとしたプレゼントを入れたりしただけなのに。酷い。
だから、ね?私、思いついちゃった。中也の頭に、強烈に取り付く方法を。それはね?中也の好きなオンナをとるコトだった。気持ち悪かったけど、仕方ないよね?だから、今回だけじゃなくて、私は何回も、中也が好きなオンナをとった。私がオンナをとったら、中也ってば、私に失恋したって泣きついてくるの。毎回、私が中也の好きなオンナをとったコト、中也には言ってなかったから。だからね、私、中也をいっぱいに抱きしめて、慰めてあげるんだ。それでね、中也が泣き疲れて眠って仕舞えば、私のお家に連れてって、お泊まり会を開いたの。何回も何回も。そしたら、中也ってば、私のこと、
「お前だけだよ!俺の親友は。」
って。親友だって。中也の唯一になれたのは嬉しかったけど、親友だって。中也ってば、乙女の恋心を抉るの、上手だよね。お泊まり会が終わった後は、とりあえずとったオンナたちはそそのかして、違法薬物に手を出させた。それからまるっきり、そのオンナ達は見なくなるんだ。兎に角、これでしばらくは恋敵を排除できた。でも、また、中也をそそのかすオンナが現れた。今度は、そのオンナが中也の事を好いているらしい。そのオンナは中也に猛アタック。中也も、そのオンナに気持ちが傾いてきていた。私がこれでもかとアタックしても、なびきもしなかったくせに。だから、また、お掃除しなくちゃいけなくなった。今度は中也とそのオンナが付き合うのを見守った。正直心苦しかったけど、我慢した。ようやく付き合ったかと思えば、中也からもわざわざその事を報告された。やっぱり、改めて言われると苦しくて、平然を装う事が難しかった。でも、大丈夫。これからあのオンナは地獄を見るから。中也がいない隙に、オンナと密会をした。そしてオンナにとある写真を見せた。その写真は私が作った、合成写真で、別のオンナと手を繋いでいる写真だった。そのオンナはショックを受けたのか、泣いた後、怒り狂って、何処かへ行ってしまった。よく見れば合成だとわかるこの写真も、私の顔に見惚れているオンナには本物に見えたのかな。それからしばらくすると、中也は私のところにきた。そして、あのオンナと別れた事を告げた。勝手に浮気と決めつけられ、喧嘩になり、そのまま別れる。そんな流れらしかった。中也はそこで、私にポツリと嘆いた。
「最近、好きな奴が全員俺の元からいなくなっちまうんだ。俺がいけねぇのか?」
中也はどうやら、精神的にくると、自分を責めてしまうタイプらしい。そこで、初めて知った。ようやく、弱みを、見せてくれた。私は中也に、すかさずこう言った。
「そんな事ないよ?中也はみんなに優しいじゃないか。」
すると中也は腑に落ちないのか、こう続けた。
「んー。でもおかしいんだ。俺が好きになった奴、全員だぞ?流石に誰か仕組んでんじゃねぇのか?」
「……。その仕組んでるのって、一体誰なんだい?」
つい、聞いてしまった。中也が誰を怪しんでいるのかを聞き出すために。もしかしたら、中也が真実に辿り着いてしまうかもしれないのに。
「あー。そうだなぁ。俺の事をよく知っていて、俺に気づかれないように手を回せるくらいの頭の切れた奴、そんで、女をうまく操れるほどの心理学に詳しい奴……。ん?あれ、これ全部お前に当てはm「中也。」
私は中也に気づいてほしくない。だから、考えを放棄させなければならない。
「連続で失恋してるからって、私を疑わないでくれる?」
私は、中也を怖がらせないように笑顔で言った。でも中也は止まらなかった。
「いや、でも、この前俺が好きになった奴、彼氏ができたっていうもんだから聞いてみたんだが、茶髪で、高身長って言ってたぞ…?そんなのお前しかいないだろ?」
「考えすぎだよ?中也。そんな人、世の中に五万と、「それだけじゃない!その前も、そのずっと前も、今回も、ありえねぇんだよ!?だって、あいつらみんな、口揃えてお前に当てはまる特徴言ってたんだからな!?当時は単語だけだったり、気が動転してたのもあってなんも思わなかったが、今考えればおかしいだろ!?」
中也が叫びながら、私から距離をとる。嗚呼、最悪だ。中也に、バレてしまった。敵と、見なされてしまった。
「なんで、、、なんでそんなひでぇことしたんだよ!、手前ぇ!?ずっと、ずっと…お前だけが"親友"で…!」
私ももう。限界だった。数多の中也の恋敵。叶うはずのない恋。もう、いいや。
「……その親友が嫌なの。」
私は呟いた。
「は?」
私は、大きな声で、中也にぶつけた。
「その親友が嫌なのッ!!!!」
中也は私の声量に驚き、黙った。
「いままでずっっっっと我慢してきたのだよ!?中也があんまりにも目移りしちゃうから!!!頑張って私がアピールしても、中也ってば私のこと見向きもしないくせに、他のオンナがちょっと優しくしたらすぐになびくんだからッ!!!!だから他のオンナに取られないように策を練りに練って、中也に勘付かれないように、中也が傷つかないように中也がとられないように一っ生懸命動いてきたのにッ!!!!!なのに何?なが酷いだッ!!!中也の方がよっぽど酷い癖にッッッ!!!!!」
私がそう、怒り任せに怒鳴ると、中也は引き気味に、呆気にとられたかのように、思わずポロッと、私の一番恐れていた言葉を口にした。

「何言ってんだよ…俺ら"男同士"だぞ…?」

「ぁ、」
この、思わず出た、私の声は、きっと、誰にも聞こえない。私の耳に、ガラガラと、何かが崩れ落ちる音がする。視界が、真っ暗になる。まるで世界が停止したかのように思えた。ずっと、ずっと恐れていた。中也から、その言葉が出るのを。でも、出てしまった。ぷちっと、音がした。するとどうだろう。もう、中也があんまりにも遠くにいるような気がして。神様が、怒っているような気がして。

それから、中也とは疎遠になってしまった。いまだあるこの場違いな恋心は、私の胸を貫いている。先日、中也にカノジョができたそうだ。風の噂で知った。でも、もういい。もう、この恋が、叶う事がないのは、身をもって、深く知ったから。もういい。中也が幸せなら、それでいいの。でも、未だに考えてしまう。夢見てしまう。もし、中也、君が私を一番に好きでいてくれて、深く愛してくれたのなら。もし、中也が私に一目惚れをしてくれて、両思いだったのなら。もし、もし私が、

女に生まれていたのなら。

6/15/2025, 10:27:44 AM