崩壊するまで設定足し算

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▶28.「終わらせないで」

27.「愛情」人形は夢を見る
26.「微熱」
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1.「永遠に」近い時を生きる人形‪✕‬‪✕‬‪✕‬

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足の修復が終わり、人形は休止状態から復帰した。
体を起こすと、シブもそれに気づいたようだ。

「やっとお目覚めか」
「ああ、助かった」
「いい。元はと言えば俺の責任だ」

それでだ、とシブはさっそく切り出した。
「結局お前は何なんだ?‪✕‬‪✕‬‪✕‬さんよ」

人形とか言ってたけどよ、
1人になって考えてみりゃさっぱり分かんねぇよ。
洗いざらい話してもらおうか?

そう言ってシブは覚悟を決めた目で、人形を見つめた。

「お前、どこから来たんだ?」

‪✕‬‪✕‬‪✕‬は、目覚めたら人形にまつわることを聞かれる可能性が高いと考えてはいた。だが、自分が眠っている間に壊される可能性も、
目覚めた途端に別れて二度と会わない可能性もあると想定していた。

「それを話すことは構わない。だが他の人間には」
「言わねぇよ。‪✕‬‪✕‬‪✕‬に危害を加えるつもりはない。人間で言うところのケジメってやつだ。分かるか?」

あの情報収集と称して話しかけた夜から始まった縁。
シブは、それを終わらせないで続けるつもりのようだ。

「分かる。人間は知りたがりだ」
「お前もだろう。散々人の家庭のこと質問攻めにしやがって」
「わかった。だが、シブの顔には疲労が見える。日を改めた方が良いのではないか?」
「あー…まぁ町には帰らねぇとな」
「帰りながらでも話はできる。撤収を勧める」
「そうするか」

‪✕‬‪✕‬‪✕‬とシブは野営の撤収作業に取り掛かった。

「‪✕‬‪✕‬‪✕‬を作ったってぇ博士は誰なんだ?」
「博士の詳しい素性や出身地は博士の記憶データには入力されていないので分からない。私が知っているのは博士が遠い国から来たこと、そこでは人形作りが盛んだったこと。そして、この国にあったという技術が私を作り上げる要素になったと」

「技術?何もねぇよ。全部戦争で焼けちまったじゃねぇか」
「そのようだな」

「最初に会った時、旅の目的は世界を見るためって言ってたな。それは本当なのか」
「半分はそうだ。博士は本当の自由が何か知ることを求めていた。私はそれを探すために旅をしている。といっても私が初めて目覚めた時からこの国にいるが」
「それで世界たぁ…ハッ、大きく言ったな」
「そのとおりだな」

「ところでお前、何年この国にいるんだ?」
「目覚めてから35年ほどになる」
「人間にバレたのは俺で何人目だ」
「2人目だ」
「意外と少ないんだな。よっぽど慎重だったか。」
「荷物は全て片付いた。町に戻ろう」
「ああ」

11/29/2024, 8:23:26 AM