『I LOVE...』
「ママ大好き!」
その声は、色褪せたビデオテープの中でだけ永遠に繰り返される。
画面の中には、溢れんばかりの笑顔の娘。
その隣に立つ私は若く、幸せそうな顔をしていた。
今の私は、誰もいないリビングのソファで、冷めきったスープを啜っている。
娘が旅立ってから、どれほどの年月が過ぎただろう。
彼女が最期に遺した日記の末尾に、掠れた文字で書かれていた言葉を、何度も何度も頭の中で反芻する。
決して忘れないように。
途中で挫けないように。
ドラマや小説と違って、現実に復讐を遂げるのはとても難しい。
時間もお金も親しい人も、すべてを失くした。
けれど、何をなげうっても、どれだけの罪を負おうとも、私はやり遂げなければならない。
静まり返った家の中に響くのは「ママ大好き!」という無邪気な声だけ。
「……私もよ」
独り言のように呟いた言葉は、埃の舞う部屋の空気に溶けて消えた。
私の愛する可愛い娘が、画面の中で手を振っている。
1/30/2026, 8:35:20 AM