ナツキとフユト【5 岐路】
フユトの、その初恋の相手とは誰なのかという質問に答えないまま、ナツキは言った
「そういうわけだから、少しの間、居候させてもらえないかな」
「そういうわけって…」
ナツキは、両手を合わせて言う
「スマホしか持って出られなくて、現金ないし、ほかに頼れる人いなくて」
「でも、見ての通りの狭いワンルームだぜ」
「住むところが決まったら、すぐに出て行くから」
「あてはあるのか?」
「ない」
「おい…」
ナツキが、切なげな顔をして言った
「お願い」
(つづく)
6/8/2024, 12:00:51 PM