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子供の頃、我が家は新聞を取っていた。

幼稚園の子供にとって
難しい新聞なんて読みものではない。

当時の私の楽しみは新聞に折り込まれている
彩り豊かなチラシだ。

高価な宝石や分譲住宅に車、子供を誘惑しまくるおもちゃ等、魅惑的で持つと幸せになれそうな品々が紹介されている。

分譲住宅のチラシを見て親たちはよくため息をついていた。曰く「欲しいけれど高い」

子供の私にとってチラシに並ぶ金額は
数字でしかない。

チラシに並んでいるものたちは
欲しいと望めば手に入ると思っていた。
そんな暗い顔をしてため息をつく必要なんて無いのにとすら思っていた。

大人になってその金額の重さを知ってしまうと
子供の頃のように無邪気には思えない。
けれど、欲しいならばちゃんと欲しいと望む大切さは子供の頃の自分が合っていると思う。

大人になって様々な事を学ぶ中で、諦めや代替品で我慢することも覚えてしまい、本当に自分が欲しい物がわからなくなってしまうことがある。

そんな時は子供の頃のように
無邪気に欲しいと思えることがきっと、
大切なのだと思う。

6/23/2023, 10:23:45 AM