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宵の、静まり返った頃。まあるく、綺麗な月が、窓の外から爛々と照っていた。私はその眩しさにいつもながら眼を細めた。

大きな月は、まるでこの世のものとは思えないほどに美しく、私は異世界に居るように錯覚した。

月の光に促され自然と目を閉じると、思ったよりもすぐに眠気が来た。私はそれに抗うことなく、ゆっくりと意識を夢へ移した。

ーー

目が覚めると、既にもう暁の時刻だった。といっても、遠くの方が、オレンジ色に染まっているだけで、こちら側はまだ薄い蒼が少し白ばんだ様子で空に浮かんでいて、その、向こうに見えるオレンジ色の朝焼けは真夜中の月よりちっぽけに思えた。

けれど、数分と経てば、こちら側もすっかりオレンジ色に染まり月より眩しい光が私の肌を刺激した。

私は別に、特別この情景が好きだという訳では無いけれど見る度に、なんだかせつない気持ちになってしまう。

5/21/2025, 2:53:59 PM