夏子

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行かないでと…願ったのに

昨夜、母が虹の橋を渡った
93歳…大往生である

しかし、昨夜までのラスト50日は
母娘にとっては過酷な50日だった

「肺に水が溜まっています」
「余命は1週間くらいでしょう」

淡々とした事務的な医者からの
言葉に動揺した

そこから、毎日の病院通いが始まった

「苦しい」と気丈な母が涙を流す
私は、傍らで全身をマッサージする
事しか出来なかった

けれど、奇跡は起こり一度目の復活
喜びは大きかったが、僅かな点滴に
繋がれているだけの母…

人は、こんなにも食べず生きられる
のかと思いながら1ヶ月が過ぎた頃
血管に負担がかかり針を抜いた…

もう終わりかと諦めた時、少し口から
ゼリー食を食べだした

何の確証もないのに、「元気になる」
と思い込んだ私、程なくして今度は
意識不明に陥った

「もう無理だ、今度こそダメかも…」

腹をくくり、病室の片付けを行った
しかし、今度も母親は目を開けた…
奇跡は、また母に生きる時間を与えた

そこからの、半月余り…
日に日に薄皮をめくるように弱っていく
僅かに口に出来ていた物が食べられなく
なり、お茶とは程遠いとろみのついた液体

けれど、母を傍らに見ながら沢山学んだ
スプーン1杯のお茶が当たり前に飲めること

それが決して当たり前ではないということ
毎日毎日が全て奇跡的である有難さ…

「生き抜く」と言う人生の課題を全て終え
今、母は何を思っているだろうか…

11/3/2025, 2:48:27 PM