たぬたぬちゃがま

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洞窟内の冷たい空気の中、僕は1人いた。
きんとした空気が肺の中に入ってくる。
ほう、と息を吐くと、白い息が一瞬現れた。
目当てのものはいない。どこだろう。
奥へと進もうとした瞬間、ぼたりと奴が落ちてきた。

「先生いたぁああああ!!!」
ボタンを操作し、アイテムを投げつける。
「あ、こんなところにハチミツが」
「はよこい!!!」
目の前で呑気に採取を始めた彼女を怒鳴りつけながら、画面の向こうの竜に切り付ける。のんびりとした様子で現れたと思ったら慣れた手つきで切りつけた。
「今度こそ素材取れるかなあ」
「時間が溶ける溶ける」
先ほどまで冷たい空気を演出していた洞窟は戦いの場になった。2人のハンターが舞うようにダメージを与えていく。心踊るBGMなどない中、2つの刃は竜に傷を増やしていった。



【静寂の中心で】

10/8/2025, 8:58:56 AM