コイツの暢気な髪の色が、いつも目に入っていた。
鬱陶しいくらい明るい色で、太陽に当たればそれはキラキラしていた。ガキの頃は同じサッカーチームだったから、ドリブルするコイツはまるで風に吹かれたアルミホイルみたいだったのを覚えている。
「なあ、好きな色なに?」
「は? 急に何だよ」
「課題でさ、友達のこと分析してこいって」
「……実験ラット扱いか」
友達。そんな言葉に、胸の奥がチクリと痛む。わかってる。おかしいのは俺で、正しいのはコイツの方。こんな感情、表に出せば気味悪がられて避けられる。
「なんだよ、変な顔して」
「うるせぇ。テメェの髪の色でも書いとけ」
「うわ、ひど。あーぁ、キミのせいで僕の成績は右肩下がりになっちゃうよ」
「……」
冗談のように受け取られたが、俺は割と本気だった。いつからか、同じ色を見かけるたびに、コイツの顔がチラつくようになってしまっていた。我ながら病的だ。恋は病だとは、よく言ったものだ。
人の気も知らずに笑っているコイツの顔を見ていると、だんだん腹が立ってきた。肩にパンチを入れて、すっくと立ってドアを開ける。
「あ、ちょっと待ってよ。まだ分析終わってないって」
「でっちあげりゃいいだろ」
分析されるには、今の俺は少々惨めすぎる。特にコイツには知られたくない。
こんな気持ち、さっさと忘れてしまいたい。つくづくなんで、俺は男に生まれちまったんだろうな。
目標文字数 600字
実際の文字数 610字
主題「好きな色」
副題「BL」
こんなクォリティじゃ腐女子のお姉様方の怒り買っちまうよ……やばいやばい……
6/21/2024, 2:39:18 PM